第53回東京都少年剣道大会 R5.5.13 エスフォルタアリーナ八王子

 

 いよいよ令和5年度の錬成大会が始まりました。まずは夏の全国大会東京予選を兼ねた団体戦が行われます。要成館からは、全5チームがエントリー(内3年生以下1チーム)し、全国大会に向けた戦いの火ぶたが切って落とされました。 

 要成館チームは、過去最強の層の厚さで、昨年度の八王子市民大会では各部門で優勝者を出し、1・2・3位を独占するなど、試合においても結果を出し、今年に入り、結果におごることなく、各練成会に積極的に参加して、今回自信をもって臨んだ大会でした。

 特にABCチームの選手たちは練成会でボコボコにされながらも、確実に実力を高め、選手自身も「やれる」自信をもっての試合ではなかったかと思います。指導者もAチームはもちろんのこと、BCチームも勝ち上がってくれるのではないかとの期待感をもって本大会に臨みました。 

 まずは初戦、3年生以下のチームからの戦いです。気合勝負の先鋒戦はH君、お互いに意地のぶつかり合い、一本負けに悔し涙を流しています。中堅戦は期待のKさん見事に2本勝ちし逆転します。大将は練成会でも頑張ったM君ですが、相手が体の大きい選手です。小手に対して面をかぶせられ痛恨の2本負け。

 しかし、やるべきはやった清々しい負けでした。次は勝つ! 

 さて、ここからはいよいよ武道館に向けた戦いです。まずは先陣を切ってCチームの出番です

 相手チームは体も大きくおそろいの胴、強敵に当たったようです。先鋒のHさんは序盤から相手の打突を何とかしのぐ戦い、幾度となく速い面にかすられる状況に、やや劣勢です。それでも機会を狙って良いタイミングで小手を当てますが残心が取れず一本には至りません。最後は力負けの一本負けでした。当てた一本を確実に旗を挙げてもらえるように、気合と残心を普段からできるようになりましょう。自分より強い相手に、しのいで勝つことを覚えなくてはなりません。

中堅のK君はこれまた大きい相手に不利な状況です。しかし、小手を一撃で決め最後まで集中して、強い相手からの一本勝ちを収め、殊勲の取り返しとなりました。勝負は大将戦へと繋がります。大将は、Iさんです。相手の大将はおそらく学年が上で、剣道も非常に良い攻撃をしてきます。実力は相手大将が上ですが、ここでもIさんは粘ります。抜き面や返し面を効果的に使い、相手の反撃を許しません。あっという間に時間切れ。勝負は代表戦に持ち越します。

 代表戦は当然大将のIさんです。5年生ながらスピード感ある剣道で相手の打突に食らいつきます。しかし、しのいでいるだけではいずれ打たれてしまいます。相手がパワーに任せて面を打突してきているので、ここは抜き胴や返し胴を狙うように指示を出していたものの、実践レベルで出す自信がなかったようで、結局胴を出さずに一本負けで終了しました。金星を逃しましたが、実力に勝る相手に堂々の試合でした。

 課題である、格上の相手に善戦した良い内容であったと思います。 

 Bチームは全員6年生の構成で臨みます。相手は2名しか登録選手がおらず、(中堅はすでに2本勝ち不戦勝です。)こうなれば一人引き分けを狙えば断然有利となるところですが、我々は引き分け狙いの勝負はしません。自分の剣道を出して勝ち、そして負けるだけです。もちろん勝負に徹するのであれば、引き分け狙いで逃げ回り、中途半端な技を見せて、つばぜり合いに持ち込むことを繰り返せば、2分の試合時間はあっという間でしょうが、先方のT君から勝負に行きます。さすが相手は名門のM道場です。一本一本の打突が的確でしっかり打ち切ってきます。時間をいっぱいまで使って戦いますが、終了間際に一本を取られてしまいました。

 一本持っている状況での大将戦に気合が入りますが、大将のK君は良いところなく一本負けとなりました。今回は自分の剣道ができなかったのが最大の敗因であり、常日頃言っている、相手ではなく自分に勝つということができなかったことは、本人も残念なことでしょう。普段の稽古でしていることを、試合で出す難しさを感じた試合内容でした。 

 Dチームは、先鋒にコツコツと努力して試合ができるまでに成長をしてくれたEさんです。練成会では上手くいかず、悔し涙に試合をしている姿がありましたが、最近では感情のコントロールもできるようになり、試合という大きな舞台を経験して、更に大きな成長を期待したい選手となりました。今回初の団体戦出場において、どのように感じてくれるか楽しみです。技は一本を取る出ばな面と抜き胴の2つしかありませんが、先にかけて懸命に打ちかかります。惜しい技が当たっているものの、一本にはなりません。しかし、自分がすべきことをし、今できる精一杯を表現した試合は確実に彼女の闘志に火がついたことでしょう。ますます剣道の素晴らしさを感じて、今後の稽古に自分らしく修行してほしいと思います。

 中堅はT君です。最近はしっかり踏み込んで力強い打突ができるようになり、試合経験を多く積めば、期待がでできる選手の一人です。今回の試合ではやはり試合経験の少なさが出てしまった印象です。相手の打突に合わせてしまい、自分主体の攻撃ができませんでした。今後は自分から攻めて打ち切る稽古をするようにしてみてください。

 大将のTさんは、体の大きな男子との闘いとなりました。スピード感ある相手の打突に合わせてしまい、自分の打突も当てているものの、先にかけられた分、相手の一本になってしまいます。剣道のスタイルは打ち負けておらず、姿勢も良い剣道でした。体格差やスピードを考えて、攻めを早くし「先を取る」ことを意識しましょう。 

 Aチームは期待の3名です。練成会での取り組みと結果がともなった選抜メンバーで、要成館としても過去最強の編成ではないかと思います。

  先鋒は5年生から抜擢のH君です。勝負勘が良く、相手を追い込んで優位に試合を進めます。しかし、相手も懸命の防御で痛い引き分けとなりました。相手を使うことを覚えると楽に一本が取れるでしょう。打てば打つほど、相手の守りが堅くなってしまいました。

 中堅は本来大将のN君です。安定した攻めで試合を展開していくものの、ここでも相手の堅い守りに有効打が出ません。終了間際に面を決めて何とか一本勝ちを収めましたが、相手の防御が思いのほか強いのが気になる内容でした。

 大将は成長著しいS君です。部内戦で勝ち上がっての大将抜擢に、本番でどのような剣道を見せてくれるか楽しみです。しかし、試合内容は残念な結果でした。引き分けで勝ちを計算したのか、ただ単に固くなったのか、S君らしい出鼻面が全く出ず、押される展開となりました。結果一本負けで、代表戦となってしまいました。自分の剣道を貫けばよかったと思いますが、相手に負けたのではなく、自分に勝てなかったような試合内容に後悔が残ったことと思います。  

 代表戦はN君です。絶対の自信をもって送り出します。終始相手を圧倒し、いつ一本を取るのかといった展開ですが、相手の堅い防御に阻まれます。特に「三所隠し」からの返し技にリズムが取れず、中盤に良い打突を返され始めます。三所隠しに対して逆胴を出すも抜けきらず、押した展開ではあるものの有効打が見られません。この場合は相手が打突しようとする出鼻を打突しなければ難しいと思います。また、打突させておいての返し技などの工夫が必要です。最後は不用意に防御したところに小手を打たれ、まさかの敗戦と、要成館にとって新たな課題が見えた敗戦となりました。 

 今大会は結果的には勝ち負けだけでの判断では惨敗でした。内容については随所に見どころのある試合を展開してくれましたが、勝負は結果がすべてという視点に立つなら、この敗戦は厳しい現実です。しかし、この敗戦をさらに自分の課題とし、次への成長に繋げるのならば、高い授業料ではないはずです。ここからどのように立ち上がるか各選手の一層の奮起を期待します。 

 保護者の皆さんには、この結果のとらえ方はそれぞれと思います。夏の武道館がなくなってしまったのは本当に残念です。最近の錬成会での頑張りを応援していただき、結果が出なかったのは誠に申し訳なく感じています。

 昨年度から続く子供たちの頑張りは、要成館史上最高と言えます。この敗戦を現実に受け止め、勝負の難しさを目の当たりにし、子供たちへの応援をますます強固にしてほしいと思います。 

 次は個人戦です。さらに厳しい戦いが始まります。道場の代表は各部門3名です。近日中に代表決定戦を行います。まずは要成館の代表を勝ち取れるように稽古をしてください。 

稽古でできないことは、試合ではできません。この結果を、ただ残念な結果にするのか、あれがあったから今があると言えるようにするのかは君たち次第です。

剣道の勝負にまぐれはありません。

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